もしも彼が。
「顔、泣きそう」
「ん、ごめん」
俯く私の顔に侑摩の両手が触れる。
「な、何…」
「俺のこと嫌い?」
「え、」
私は侑摩が好きなの?
嫌いなの?
「ねぇ、言えないの?」
呆れ始めた侑摩。
「言えないのなら、言わせてやるよ」
「え?」
店から私たちは足早に出たと思ったら
侑摩はタクシーに乗り込んで運転手さんに目的地を伝えていた。
「ね、ねぇ。」
「んー?」
「どこ、行くの?」
「さぁ?」
いくら聞いても答えてはくれなかった。