もしも彼が。
「物足りないような目。」
「ふっ…!」
キスを突然され、頭がぽーっとしてしまう。
「じゃ俺行くね」
「……うん」
階段を下りる音がやけに響く。
私は侑摩が好き?
分からない。
私は何を求めているの?
「じゃ、またね」
玄関の扉が開くと
やけに冷たい風が私の頬を撫でた。
「こーら、暗い顔しないの」
「し、してないもん!」
「強がっちゃってー可愛いったら」
「可愛くないもん!」
まだもうちょっと。
傍にいて…
私はいつの間にか侑摩の服を
キュッと掴んでいた。
「魅咲?」
「ん?」
俯きながら答えると涙が出そう。
「魅ー咲?」
「んー?なぁに?」
「いつでも俺を呼べよ」
いつもより声の低い侑摩の言葉。
「う、ん…」
心に刺さって痛い。