もしも彼が。

「泣くな、な?」


いつでも会える――

そう言った侑摩。


「泣いてないもんッ…」


そう言いながら
掴んでいた手に涙が零れ落ちた。


「ったく」


カチャリと扉が閉まった音と同時に
フワリと抱きしめられた。


「ゆぅーまぁ」


グジグジと泣く私。
よしよしと宥める侑摩。


私、侑摩が…


「…好きぃ」

「え?」

「侑摩が好きぃー」


ふえーんと泣く私をよそに


「好き、俺を好き…」


ブツブツと言い始める侑摩。


「ほんと?」


抱きしめる腕を一層強くして
耳元で囁く。


「好き、傍にいて…」


貴方じゃなきゃ私、駄目かもしれない。

こんなことあり得ないって思ってた。

出会ったばかりの人を好きになるなんて
あり得ないって。


「魅咲を信じてもいいわけ?」

「ん。しん、じて?」

「……ッ了解」


首筋に顔を埋める侑摩は震えていた。




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