海と微熱の狭間で
そうだ。もう五年経ったのだ。


可純と葛城は五年前に出会った。
そして直ぐに別れた。
葛城とは少しだけ会話をしただけだ。
それでも、記憶の隅にはいつもいた。それは二人とも同じだった。



再会したのはあれから四年後、今からすると一年前だった。
可純はその時翻訳者として働いていた。
驚きにも、彼が可純を探し出してくれたらしい。
それには後で知ったのだが…可純の友人である陽和が協力していたらしい。

陽和は葛城の喫茶店で働いているのだ。

「何かね可純に会いたいっていう人がいるのよ」

初めは乗り気ではなかったのだが、あまりにもしつこいので了解してしまったのだ。

< 3 / 59 >

この作品をシェア

pagetop