海と微熱の狭間で
朝海が悲しそうな表情を見せた。

「ううん、ぼく美夕ちゃんは好きだけど何だかちがう気がしたんだ。だからごめんねって言ったら美夕ちゃん泣いちゃった…」

深島はようやく赤みが消えた頬を綻ばした。

「ちがう気がしたんだ?」
「うん…でもおとーさんはそう思わなかったんでしょ?だからおかーさんにプロポーズしたんだ!」
深島は苦笑しながら頷いた。

「おかーさんはおとーさんの可愛いおひめさま?」

丘生が真面目そうに尋ねると今度は月帆が顔を赤らめた。

深島がそっと微笑んだ。

「そうだよ、僕だけの可愛いお姫さまなんだ」
多分、ずっと昔から。きっと、これからも。





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