海と微熱の狭間で
「可純の髪ほっそいなあ」

マロンブラウンに近い髪は細く柔らかい。

器用な葛城はパパパと髪を右側に寄せて結う。

今日は葛城曰く「お嬢様風」らしい。所々に花の刺繍を施された黒のワンピースにクリーム色のポンチョ。ちなみに前にリボンがついてある。


タイツも黒で、靴はこれまたリボンが爪先あたりに付いているベージュのパンプスらしい。


「…葛城くんも暇だよね」
「可純の可愛い姿見るためだからな」

まあ何でも可愛いんだけど、葛城が何気なしに言うのが恐ろしい。

「…装飾系の仕事につけばいいのに」
「まさか!」
葛城が即答した。

「俺は喫茶店一筋だし、好きなヒトにしか興味湧かない」
「……ああうん、そう」

ストレート過ぎるのも考えものだと、可純は深く思う。


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