海と微熱の狭間で
車は原野のだけれど、全員免許は持っているので交代で運転を代わった。
ちょうど最後に原野に代わると、可純はほっと溜息を吐いた。
運転は好きだがやはり疲れてしまう。
可純がジュースを飲みながら景色を眺めていると、隣で葛城がぽつりと言った。
「セックスってさ」
可純は飲んでいたジュースを吹き出しそうになった。
葛城の顔をまじまじ見る。
原野もバックミラー越しに葛城を見ていた。
「そんなに必要なものかね」
言った本人は顔色一つ変えずに昨日の雑誌を見ている。
可純は雑誌を覗き込む。
「セックスと愛」と題名が書かれてあった。
「…なに?突然」
原野が口をもごもごさせて言った。
「これによるとセックスしてるときが一番愛を感じるんだとよ」
嘲笑うように言ったが、可純はどことなく悲しそうに見えた。
「ふうん…若いねえ」
原野が苦笑した。
若い、という歳でもないだろう。可純は呆れた。
二四歳の原野にとって雑誌による考えは「若い」らしい。
「その行為が悪いわけじゃないけどさ、俺も可純とするのは嫌いじゃない」
「ちょっと!」
可純は真っ赤になって突っ込んだ。
何て言うことを言うのだろうか。
だが葛城は止まらない。
「だけどそういう行為で愛が確立するとは思えないな」
忌わしげに雑誌をくしゃくしゃにした。
「あっこら!インタビューの記事取っときたかったのに!」
「わ、ごめん!」
葛城は慌てて謝ったが雑誌はぐしゃぐしゃになっている。
「何に愛感じんの」
原野が声を気付かないぐらい僅かに、低くさせたのを二人は気付かない。
可純は勘弁して、とでも言うかのように硬く目を閉じた。
葛城が微かに笑った。
「鍋食ってるとき、かな」
ちょうど最後に原野に代わると、可純はほっと溜息を吐いた。
運転は好きだがやはり疲れてしまう。
可純がジュースを飲みながら景色を眺めていると、隣で葛城がぽつりと言った。
「セックスってさ」
可純は飲んでいたジュースを吹き出しそうになった。
葛城の顔をまじまじ見る。
原野もバックミラー越しに葛城を見ていた。
「そんなに必要なものかね」
言った本人は顔色一つ変えずに昨日の雑誌を見ている。
可純は雑誌を覗き込む。
「セックスと愛」と題名が書かれてあった。
「…なに?突然」
原野が口をもごもごさせて言った。
「これによるとセックスしてるときが一番愛を感じるんだとよ」
嘲笑うように言ったが、可純はどことなく悲しそうに見えた。
「ふうん…若いねえ」
原野が苦笑した。
若い、という歳でもないだろう。可純は呆れた。
二四歳の原野にとって雑誌による考えは「若い」らしい。
「その行為が悪いわけじゃないけどさ、俺も可純とするのは嫌いじゃない」
「ちょっと!」
可純は真っ赤になって突っ込んだ。
何て言うことを言うのだろうか。
だが葛城は止まらない。
「だけどそういう行為で愛が確立するとは思えないな」
忌わしげに雑誌をくしゃくしゃにした。
「あっこら!インタビューの記事取っときたかったのに!」
「わ、ごめん!」
葛城は慌てて謝ったが雑誌はぐしゃぐしゃになっている。
「何に愛感じんの」
原野が声を気付かないぐらい僅かに、低くさせたのを二人は気付かない。
可純は勘弁して、とでも言うかのように硬く目を閉じた。
葛城が微かに笑った。
「鍋食ってるとき、かな」