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「初めまして」
.


私の世界は
小さい液晶画面の中にある
何故かって?

わからないよ

そんなこと


私が知りたい位だ


========


「おはよー」
「よっす」


教室の中
数々の挨拶が聞こえる
そんな中
私は一人教室の端の席で
なんとなく外を眺めていた

この高校に入ったのは
今から二週間前
入学式に満開だった桜は、
もう既に新緑が見えてきている

私は教室ではいつも一人だ
中学のころの友達は
ほとんどが違うクラス

…でも、このまま一人でも別に構わない
そう思っている
周りの人達もほとんどが上面の友情を掲げている

ほら、
あそこにも


「宮島く〜ん。金かして」

「え、でも…」

「なんだよ〜俺達、[友達]だろ?」

「う、うん…」


[友達]を何かに利用して自分の利益にする

別に私はそれがいけないことだなんて思っていない
むしろ、賢いと思う

自分でもひねくれた考えだと感じている
でも、そんなものでしょ?


「本当、下らない…」

「何が下らないの?出席番号29番の皆瀬(ミナセ)凪沙(ナギサ)さん」

「…?」

「そこ、俺の席」


そう言って目の前の
クラスメートだと思われる男子は
今、私が座っている席に指差した
…が、
そんなこと
私はわかっていた
分かっていて
ここに座っているのだから

「…分かってる」

「うん?…まぁいっか」

「…いいんだ?」

「うん!代わりに俺が凪沙サンの席に座るから」


そう言って彼は私の隣にボスッと座った


(あんまり変わらないじゃない…というか近い)


…いきなり
名前で呼ばれたことに
軽い人だなぁと思った
名前と言えば
私は彼の名前を知らない

クラスの人間に興味はない
だから、何日か前にやったはずの自己紹介は
適当に済まして、後は聞いていなかった

そう言えば隣の自己紹介は騒がしかった気がする

私の隣ということは35番…


「変な人…」

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