不良彼氏と胸キュン恋愛【完】
「そうなんだよ。『ヒロヤ君は思ったことをちゃんと口と態度に出してくれるし、ああいう彼氏がよかった』なんて言い出してさぁ」
「まぁ、アイツは……自分の感情を抑えることを知らないからな」
「流星と神崎って友達なんだろ~?だったら、言っておいてよ。アミにだけは手出すなって!!」
「大丈夫だって。アイツの狙いは、花音だから」
「ふぅん。花音ちゃんか……――、って!!マジかよ!?」
「あぁ。間違いない」
「よく平然とした顔でいられるなぁ。俺なら耐えきれないわ」
フィルター近くまで吸ったタバコの火をアスファルトでもみ消す。
「流星……、大丈夫なのかよ?お前もかなりのイケメンだけど、神崎もお前に負けず劣らずのイケメンだし。無口なお前と違って話もうまいし、女を口説くのもお手の物みたいだし?」
「お前、何が言いたいんだよ」
「花音ちゃん、取られたりしないようにしろよ?」
「ヒロヤに花音を……?」
「あぁ」
「ありえねぇよ。花音は誰にも渡さない」
「でも、こないだ花音ちゃんと神崎が裏庭で一緒にいるところ見たぞ?気をつけた方がいいって」
「へぇ……」
いつの間にか話が、ケントの悩み相談から花音とヒロヤになっていて。
花音とヒロヤが一緒にいたなんて話、ケントに聞くまで知らなかった。
教室で楽しそうに話してるところは何度となく目撃した。
でも、二人だけで一緒にいたというのは初耳だ。
その後、ケントの話を聞いていてもなんとなく上の空で。
頭に浮かぶのは、花音とヒロヤのことだった。