不良彼氏と胸キュン恋愛【完】
「流星と一緒にバイトしてた時、借してもらった金」
「俺、お前に金なんて貸した覚えねぇよ」
「いや、確かに借りたよ」
ヒロヤは誰かと俺を勘違いしているようだ。
俺はヒロヤに金を貸した覚えなんてない。
「とりあえず、受け取っておいてよ?」
「ハァ?受け取れねぇよ」
「いいから、いいから」
「……しょうがねぇな」
腑に落ちないけれど、そこまで言うなら一応受け取っておこう。
俺は渋々、5000円札を制服に押し込んだ。
≪キーンコーンカーンコーン♪≫
4限を告げるチャイムが鳴り響く。
「4限もサボんの?」
「あぁ。今から戻っても間にあわねぇし」
「じゃあ、俺も一緒にサボるわ」
タバコの火を消して、俺の隣で横になるヒロヤ。
「なぁ、流星。お前いい彼女もったな?」
「……?」
「可愛くて、素直で、優しくて……すっげぇ羨ましい」
ヒロヤはそれだけ言うと、目をつぶって眠ってしまった。