不良彼氏と胸キュン恋愛【完】
放課後も俺のイライラはずっと続いていて。
そんな俺の気持ちを知ってか知らずか、いつもと変わらぬ様子のヒロヤ。
そして、俺のイライラに追い打ちをかけるような出来事が起こった。
「花音、帰るぞ」
いつものように花音にそう声をかけると、花音はビクッと肩を震わせた。
「あっ……、えっと、今日は……一緒に帰れないんだ。ごめんね」
振り返った花音はひどく動揺していて、俺と目を合わせようとしない。
「何で?」
「……い、委員会!!ほら、あたし図書委員でしょ?今日は本棚の整理をする日だから!!」
「今まで本棚を整理したことなんてあったか?」
「あったよ~。だから、先に帰ってくれる?明日は一緒に帰れるから」
バレバレな嘘をつく理由は一体何だ……?
クラスの大半の人間が下校したというのに、まだ教室にはヒロヤの姿がある。
それどころか、俺と花音の様子をチラチラと見て気にしている。
いつもならば、我先に教室を飛び出すヒロヤ。
何かがおかしい。
「分かった。委員会頑張れよ」
「う、うん!!ありがとう!!」
頬を引きつらせて笑った花音に別れを告げて教室を出る。
でも、不吉な予感を感じた俺はそのまま下駄箱には向かわず屋上の階段を上がった。