不良彼氏と胸キュン恋愛【完】
「あ~あ……、傷……ついちゃったかも」
その包みを拾い上げながら、力なく笑うヒロヤ。
俺は未だにヘラヘラと笑うヒロヤの襟元を掴んだ。
「二度と俺と花音に関わるな」
低い声でそう言い放つと、ヒロヤの顔から笑みが消える。
そして、か細い声で「ごめん」と謝ると視線を足元に下げた。
「今更謝ってんじゃねぇよ」
「ねぇ、流星。これには事情があって……――」
「コイツの事情なんて、俺が知るか」
「でも、話くらい聞いてあげても……!」
「うるせぇな。帰るぞ」
俺はヒロヤから手を離すと、花音の腕を掴んだ。
一度振り返ると、ヒロヤはガックリと肩を落として地面に視線を落したまま動かなくて。
何故かその姿にチクリと胸が痛んだけれど、それを無視して屋上を後にした。