不良彼氏と胸キュン恋愛【完】
「……――花音、いくぞ」
返事を返す間もなく引っ張られる右腕。
声も出せずに驚きで口をパクパクさせるアミと、流星を睨みつける智也の横を通り過ぎる。
教室中が大騒ぎになっているのは頭の中では分かってるつもり。
だけど、あたしの心の中はもっと大騒ぎしていて。
右腕に感じる流星の熱に心臓がバクバクとうるさく鳴り出す。
顔を上げると、あたしの一歩前を歩く流星の大きな背中と長い襟足が目に入って。
―――ドキドキドキドキ。
自分の心臓の音だけがやけに大きく聞こえて、その音が流星に届かないことを願った。