不良彼氏と胸キュン恋愛【完】
その男の子が早川流星だと気付いた途端、膝がガクガクと震えて。
早川君って……悪いって有名な人だ……。
いつもどこか冷めた目をしているし、何を考えているのか分からないところがある。
悪そうな集団の真ん中にいる怖い人。
入学早々、3年の先輩とケンカ騒動を起こした人だ。
早川君にボコボコにされて、今まで校内を仕切っていた先輩のメンツは丸つぶれ。
その先輩はその後すぐ、学校を辞めちゃったって風の噂で聞いた。
「傘、ねぇんだろ?」
そんな人が……どうしてあたしに傘を……?
あまりに突然のことに、喉の奥に言葉が張り付いて出てきてくれない。