「マッチを買いませんか?」

その後。シャルロットはケーキをワンホールせしめると手土産に持って帰ることにした。


外は既(すで)に真っ暗闇だが、ランタンをもって歩いている人が数人はいる。

商売は、これからなのだ。

次々と人を欺(あざむ)く手段が浮かんでくる。脳に糖分が行き渡っているのだろう。

冴(さ)え渡る頭を使って手品を披露した。最初は数人しかいなかったのだが、次第に人垣(ひとがき)ができていたのだった。賭け金も莫大なものになっていく。

「俺は金貨十枚だ! マッチ箱は空だぁぁぁぁ!」

「そうだな、マッチ箱には…………五十本、かな。金貨二十枚!」

「ふふ。そうそう。みんな賭けてごらんなさいな。空か、半分か、新品か。家族に披露(ひろう)してごらんなさい、きっと喜ぶわよ」

< 12 / 15 >

この作品をシェア

pagetop