浮気な彼
「..............雪乃?」
菊野くんは私をじっと見ている
「菊野くん..........っ.........会いたかった、よぉっ.....!!」
「..........え?........」
私は菊野くんに抱き付いた力一杯、
「..........っ.........雪乃?思い出したのか??」
菊野くんはそっと私を抱き締め返した
「っ.....ごめ、なさい.....ごめんなさい........菊野く、........っん」
泣きながら、懸命に喋る
「........雪乃」
「菊野くんを忘れて、........っ.....ごめん、なさい.......」
「思い出した...........のか?」
言葉一つ一つをゆっくりと言う菊野くん
私を抱き締めてくれる手は少し力が強くなっていた
私は涙で言葉は出ずこくこくと何度も首を縦に振った
「っ.......雪乃っ..........!」
菊野くんはまだ信じられない様子で
私は息を飲み込んで言葉を口にする
"私"が知っていることを
「菊野くんが初めて........浮気した日は、私の誕生日12月12日..........だよね??」
前までの私なら
わからなかった
これは
記憶が戻った
証拠なんだから
「...........っ、雪乃.........」
そう言って菊野君は私を強く抱き締めた
苦しかった、こんなに近くにいるのに
会えなかった。
愛しい-----
-----逢いたかった
寂しかった-----
-----貴方が好き
そんな感情がいっぱい詰まった
温かい気持ちになるぎゅーだった