浮気な彼
教室にパシンッと、乾いた音が聞こえる
「最低!!!!!雪乃にあんな事言うなんてッ!!」
「...........美優ちゃんは、関係無い.....だろ、」
「関係無い!?そんな事無いよ!菊野くん!雪乃に謝ってよ!!」
「ちょっ.....美優ちゃん落ち着いて!!」
「冬樹くんは黙って!!」
美優は菊野くんをキッと睨み付けた
そして、今にも泣き出しそうな声で
「分かってるの!?雪乃、悲しんでるんだよ!!雪乃はっ.......!!!」
精一杯叫んでいた
「「美優っ.......!!.......」」
「雪乃、亜樹........」
目にいっぱいの涙を溜めて
肩で息をしながら私と亜樹を見詰めた
その姿に、私は泣きそうになった
「ありがとう、.....美優もういいから........帰ろう?」
「でも.........雪乃はっ!.......それ、で....良いの.....?.....」
私は何も言わなかった、
否、言えなかった
良いわけ無いから。
「美優戻ろう?」
そんな私を分かってくれたのか亜樹が言った
「.........亜樹っ........」
美優を宥めた亜樹は菊野くんを見詰めて、
「私からもこれだけ言っとくね《雪乃の幸せを決めるのは雪乃自身だから》覚えといた方がいいよ」
そう言った亜樹は私と美優を連れて屋上に行った
私は菊野くんと目を合わせず、
冷たくも気持ちいい風が頬を撫でながら
私達は................泣いたんだ
それぞれ、胸がいっぱいで。
「美優、泣かないで..........」
「ごめんね、泣きたいのは雪乃なのにね.............っ」
「いいよ.......?.........ありがとう美優」
「雪乃、アンタもだいぶ無理してる、泣いてもいいよ。美優と一緒に泣きな?」
「っ........亜樹........」
亜樹の一言で溜まっていた涙が溢れ出した