浮気な彼



「雪乃?嘘吐く、なよ.............」

悲しげに眉を下げる

その様子に少し胸が締め付けられた

「.........嘘なんて吐いてない.......よ?」

「..........俺が全部、"見せてた"としても...?.......」




「...........え?」

どう.......いう.......意味.......?

「初めて浮気した日、覚えてる?」

「.......し、知ってる訳無いっ.....でしょう?」

本当は知ってる
 
忘れるわけない

だってあの日は。



「12月12日」



そう........... 




「雪乃の誕生日」





そう初めての浮気は

私の誕生日

「あの日、初めて雪乃に妬いて貰いたかった................不安でいっぱいだったから..........」

「.......っ.....!?」

それ、...........って?

「雪乃が、俺のこと好きなのかわからなくなって馬鹿だった、けど........一度だけ試してみようって思った」

「..........」

「俺は........."態と見せ付けた"のにさ.....?....雪乃何も言わなかった何事も無かった様に《帰ろう?》って....!!.........何時も通りで....!!!」


声を荒げて叫ぶ

その姿が痛くて痛くて今にも抱き締めたくなった

辛くなった


「誕生日プレゼントも何も『おめでとう』の一言も言わなかったのに」

「..........っ、」



知らなかった。

菊野くんも同じだった

菊野くんは不器用で

不安で、怖くて、仕方が無かったんだろう

 
だから、

《気付いて?》

って、叫ぶように行動して

《俺を見て?》

............って。

もっと

もっと早くに分かれば..............

ううん、そうじゃなくて。

私が分かろうとしなかったんだ

自分が情けなくなって仕方が無い


ごめんね.......っ...........


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