浮気な彼



がたがたと手が、足が震えていく

「.........ごめんなさ.......ッ....!!.....」

自己嫌悪で可笑しくなりそうだ



「ごめ........なさ.......ッ........」

立つ事さえ間々ならなくなって

ぺたり、とその場にしゃがみ込む

"愛する人を苦しめた"

その事実が痛すぎるほど私を壊れさせた



「.........泣くな」

泣いて、る.....?

私、泣いてたんだ

言われてから初めて気が付く

泣いちゃ駄目だ、迷惑になる....



「 !! 」

「好きな子の泣き顔って結構ツボだな、」

そう言ってふわりと抱き締められた。


..............え?

抱き締められてる...........?

こんな事は今までなかった

さっきまで離れていた菊野くんが

こんなに近くに居る?



とくん、とくんと規則正しいリズム

すごく、..........温かい..........

「菊野くん...........」

「..........何?........雪乃?」

「さっき、好きって言った?」




好きな子って、言った?



「........言った」

「誰、が.......?」

「..........わかんないの?.......今俺が抱き締めてる.......雪乃ちゃんですけど?」

菊野くんはくすりと笑いそう言って私を強く抱き締めた

「...............え?」

本当なの?

私の事、好きでいてくれるの?

私は菊野くんの隣に居てもいいの??

「ごめんな雪乃これからはもっと大切にする........だから、だからさ」




「俺の傍に居てくれよ。」



「もう..........離したくねーんだ..........」

    


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