浮気な彼



「不安だったんだ........毎日が.......怖くて、仕方が無かった、....捨てられるんじゃ、振られちゃうんじゃないかって、でも.....!!.....菊野くんは、っ....」


下唇をきゅっと噛んで息を飲み込む


「....一緒に笑ってくれた....だから、私は頑張れてたんだ。」

小さく微笑んで見せたと思ったが直ぐに

その可愛らしい顔を泣きそうに歪めて



「けど、けどねいつからかなぁいつの間にか、本気で笑えなくなった.........嬉しいはずなのに笑うことができなかった」


可笑しいよね、そう付け足して。




「それでね、デートを断られる度に最初は泣いてたのに」

「涙すらでなくなった」

「慣れちゃったみたい」


雪乃の言葉が俺の心に突き刺さる。


「........っ、そこで別れるってことは無かったのか?」


こんな事聞きたくは無かった

でも雪乃は何でそこまでして

俺の傍に居てくれたんだ?

「それはね?自分でもわかんない、どんなに辛くっても、どんなに寂しくっても、菊野くんのこと大好きだったの」


泣きそうで壊れそうな笑顔。

俺には綺麗に見えて、何も言葉は出なかった


「本当だよ?.......周りの子には反対されるしさ、それでも離れることができなかったの」

「...........―っ」

 
雪乃の思いがひしひしと伝わる、

痛いほどに


「菊野くんの所為なんかじゃないよ........私がもっと早くに気づけば良かったよね」

「もっと菊野君の事知ろうとすれば良かったのにごめんね...............ごめんね」




雪乃は自分を責めるように謝る

雪乃の所為じゃないのに、  





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