銀河の流星
『天狐』とは、伝説伝承に残る大妖怪『九尾の狐』をも上回る存在。

狐霊というのは長い年月を経て神通力を持つに至り、その証として長い尾を幾本も備えた妖怪なのだが、更に年を経るとその尻尾は抜け落ちていく。

千年を過ぎると流星のように、尾は少ないながらも限りなく神格化した狐霊へと変貌するのだ。

…彼の四本の尾は今、ソラリスの地中深く…この惑星の核(コア)ともいえる位置へと突き進んでいる。

地中を流れる惑星の血潮とも言えるマグマをもものともせず、ソラリスの体内へと深く深く…。

生命とて体内に異物が侵入すれば痛みと拒絶反応に痙攣し、もがき苦しむ。

そしてやがては死に至る。

…流星の目的はまさに、このソラリスの『死』にあった。

地球人類という、星を食い尽くす欲望に塗れた『病原菌』に緩やかな死を与えられるくらいならば。

流星は己の手でソラリスを『殺す』つもりでいた。

そう、このような野蛮で自己中心的な生命…地球人類などソラリスごと滅びてしまえばいい。

そして仇を討つのだ。

弟の昴を嬲り殺しにした復讐を、年月を経た今こそ果たすのだ。

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