銀河の流星
ともかく、既に街は大混乱に陥っている。

そこかしこで響き渡る車のクラクション、悲鳴、阿鼻叫喚。

至る所で火の手が上がり、生き残った人々も我先にと逃げまどう。

ほんの10分ほど前には予想だにしなかった大惨事だ。

「俺達もこの場を離れるぞ」

流星が星乃とポーラの手を引く。

「え…でも…残骸に挟まれたりした人がいるかもしれないわ、救助しなきゃ…!」

無事だったとはいえ、自分一人生き延びる訳にはいかない。

流星の手を振り解こうとする星乃。

…己の身の安全よりも周囲の人間の安否を気遣う。

こんな女だからこそ、流星もまた惹かれたのだ。

が。

「駄目だ」

彼は星乃の手を放さない。

「考えてみろ、先程の規模の地震なら、その余波で津波が来る可能性もある…!」

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