銀河の流星
それは、信じ難い光景だった。

高台から見えるソラリスの大樹海。

その樹海の一部が大きく隆起したかと思うと、硬い地表を突き破って巨大な生命体が地中から出現したのだ。

…その姿を、何と形容したらよいのか。

甲殻に覆われた巨大な頭部。

茶褐色の甲殻はまるで鎧であり、堅牢な装甲のように見える。

その頭部の下から、甲殻と同色の触手が10本前後伸びていた。

長い。

触手だけで数十メートルはあるだろうか。

太さも樹海に生い茂る大木とほぼ同等。

一言で表すなら、頭部に甲羅を持った巨大な蛸。

その蛸が、グロテスク且つ巨大な体を地中から引き摺り出していた。

「…あの甲殻…」

流星が小さく呟く。

彼が四本の尾で惑星の大地を掘削していた時、固い何かに先端がぶつかって先に進めなかった事があった。

今思えば分かる。

あの正体は、奴の甲殻だったのだ。

「あれですの…」

ポーラも脅えたような表情で言った。

「さっきの『声』…あれから聞こえてきますの…!」

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