銀河の流星
「こんな困難くらい何よ」

恐怖を感じているのだろう。

不安はあるに決まっている。

しかし、ただのちっぽけな人間である星乃は気丈に言った。

「人間はね、どんな絶望の中ででも生きていけるの。人間は…戦争や、台風や、震災や…過去何度も襲ってきた圧倒的な絶望にだって、真っ向から立ち向かってきたの。そしてその度にまた自分達の足で立ち上がってきた。あんな怪物なんて何て事ないわ」

震える膝に喝を入れ。

「私達は必ず復興する!どんな災害にだって挫ける事なく立ち上がれるの!私達は最後まで『希望だけは』捨てないから!」

自らを鼓舞するように、星乃は声を張り上げる。

それは、今まさに苦しんでいる者達へのメッセージ。

災害の真っ只中にいながら、それでも尚懸命に『生きる事』に執着する勇気ある者達に向けてのメッセージでもあった。

そんな星乃を。

「あ…っ…」

流星はフワリと、四本の尾で抱き締める。

「その言葉…しかと受け止めたぞ」

普段は薄笑みしか浮かべない、ともすれば冷たい印象しか与えない流星が、この上なく優しげな笑顔を見せた。

「驚いたぞ星乃…この俺に…『人間を守りたい』などと思わせるとはな…」

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