銀河の流星
長いようでいて短い抱擁。

スルリと銀色の尾が星乃から離れ。

「あっ…」

流星は星乃とポーラを見下ろすほどの高さにまで浮遊した。

翼もなく、また音もなく。

天狐である流星の神通力あっての芸当だ。

「お前達は安全な場所へと逃げよ。奴は俺が引き受ける」

「ひ、引き受けるって!」

星乃が声を上げる。

流星が天狐としてどれだけの力を持っているのかは知らない。

神の使いを自称するのだから、人間では及びもつかないほどの能力を持つのだろう。

それでも、目の前に悠然と構えるあの星食み相手では役不足のように思えた。

何より。

「無茶よ流星…相手はソラリスの生命力を吸い取るような奴なのよ」

星乃の頬を涙が伝った。

先程まで自分を優しく包み込んでいた、あの銀色の尾の温かさ。

あの温もりが二度と感じられなくなるのではないか。

その事がこの上なく恐ろしかった。

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