隣の魔術師
”いっそここに捨てちまおうか”

そんな考えを抱き床を見ると少し水で汚れていた。

こんなところに捨てていってしまうのか…

なんか、

なんかさ、

そう、

「俺、たたりに遭いそうじゃね??」

さーっと血の気が引いて脳内に浮かんできたのは死神の姿。

黒い格好に大きな大きな釜をもって…

「無理無理無理無理。想像しただけで無理だって!!」

紙捨てたぐらいで襲われるなんてただもんじゃねぇし!!

ここはこの紙の保護者が見つかるまで持っておこう。

うん、そうしよう。

俺がズボンのポケットに紙をつっこむとクシャっと嫌な音。

「やっべ…!」

すかさず取り出すと綺麗に四角に折りたたみポケットに今度は慎重にいれた。

今度は何の変わりもない下駄箱から靴をとりだし、履く。

玄関からでるとまだ曇っていた。

あいにく今日は傘を持ち合わせてはいないのだ。

雨が降ってしまったら”ずぶぬれ”である。

「雨が降りませんよーに。」

棒読みでつぶやいた後、自宅へと歩きだした。




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