わがままな彼女。
「エンリョしときますー。」

「俺をフルなんて、いい度胸じゃねーか。」

「「何様だよ」」

あ。

癒那とハモった。

「…俺様…?」

素直に答えてんなよ!!

「恒也くん、ウケる〜!!」

「あんた、バカでしょ。」

「美愛にバカとか言われたくねーし。」

「ちょぉっと、それどぉいう意味「おい、そこの三人、机移動させろー。」」

また…しかも次は先生に遮られた。

「「「はぁーい」」」

「じゃーね、美愛」

「バイバイ」

「恒也くんと、お幸せに」

そう小声でつぶやいて、癒那は行った。

…意味わからんし。


ガタンッ


と、恒也の机に、美愛の机ば引っ付けた。

だいたいさぁ、机引っ付けなんとか小三レベルだろ。

近すぎる。

近い近い近い〜!!!

隣になったらなったで緊張する〜!

「美愛」

ドキッ


聞こえたかな…。

聞こえるわけないか。

でも、そんなくだらん事心配するくらい、美愛と恒也は近かった。

「なん?」

「…なんも。」

なんだよそれ!!!

無駄に緊張して損した。

「そ。」

二人の間には穏やかな空間が流れる。

…ん!??

ちょい待って。

恒也が隣って、寝れんじゃん!!

寝顔見られたくないし、そもそも怒られるし。

恒也、真面目だけん。

ふぃー。

「寝るなよ。」

「ばれたきゃ。」

「叩き起こすかんな」

うぅ。

「寝らんもん。」

「よし。」



バシンッ



…皆さん、お分かりだろうか。

今、一時間目、数学。

そして美愛は爆睡しとった。

んで、恒也に叩かれた。

容赦ないけんねー。

痛か痛か。

「ちょっとは手加減してよぉー。泣」

「小林に怒鳴られるよりマシだろ?」

「むぅ」



幸せ…だった。

そんな時間が大好きだった。

美愛はバカだから、恒也の不安に気付けてあげられんかった。

怖くて、怯えとったのに。

助けてあげられんかった。

ごめん。

―ごめんね、恒也―…。
< 12 / 17 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop