わがままな彼女。
「今日のHRは席替えすっかぁー」

事の発端は、担任槝田のこの一言だった。

「よっっっしゃ!!!誰が隣になんのかなぁ〜。…お前は美愛チャンがいいんだろ?」

龍斗が俺に、そう言った。

「んー…。」

迷う選択。

隣になったらなったで可愛すぎてどーかなりそうだもんなー。

てかそもそも、俺はこんな贅沢な選択、していいのか!??

だめだろ。席替えできるだけありがたく思え。

うちの担任槝田は、三十代前半くらいで若い。

だから席替えとか、今の若者がやりたい事、したい事をわかってる。

「なんだよ、嫌なのかよ。」

「嫌なわけねーだろ。」

「好きなんだ?」

うぜー。

「知らね。」

龍斗はそれ以上、何も言ってこなかった。


シン…


ん?

なんか静かになったな。

前を見てみると、くじ箱の前には美愛がいた。

で、皆、美愛の番号を聞き逃すまい、見逃すまいと、静かに、美愛の手元にくぎ付けになっている…ってわけね。

そーいう俺も、その一人。

「…23バン。」

男子は女子の前にくじを引き終わっている。

だからもう美愛の隣の男は決まってる。

誰だ?

そんな幸せモンは。

…で、俺は何番だっけ?

確か俺も、20ナントカだったような………。

―…嘘だろ?

夢か?

「おい、恒也、美愛チャン23番だってよ。お前何番なんだよ。」

「…なんて、書いてある?」

カサッとその紙を龍斗に見せる。

「……23……!!」

だよな?

俺の目、おかしくなんかなってねーよな?

「よかったじゃねーか!隣だぞ、隣!!」

「あ、あぁ。」

嬉しい反面、俺は不安だった。

美愛にのめり込まないかって。

…第一俺は今、いつ発作が起きてもおかしくない状態だ。

…病気の。

…心臓の。

大丈夫かな…。

…その日は、不安で、美愛と話して覚えているのは、小林の授業を、寝るなって言ったのに寝て、叩き起こした事。

あいつが悪い。

バカすぎる。

こんな毎日が続くのかなー。

うん、悪くないかも。

なんだかんだ言って楽しいし。

美愛の反応も可愛いし。
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