わがままな彼女。
美愛Side

「おはよー美愛」

この子は癒那(ゆな)。一番仲良くなった子。

「癒那ぁ〜。おはよお」

「恒也くんは?」

「ん〜…、まだ!」

癒那は、美愛が恒也を好きって事、知っとる。

教えたけん。

「早く会えるといいねぇ」

ニヤニヤしながら言う癒那。

癒那は名前の通り、癒し系女子だけど、こんときは、美愛ば癒すどころか、いじめた。

「ちゃかさんで!!」

「はいはぃ。」

黙ってれば可愛い…いや、話してても可愛いな。

美愛は、恒也が癒那を好きにならんか心配だった。


ドンッ


背中に衝撃がッッ!

「いったーす」

後ろを振り返ると、そこには恒也がおった。

しかも超至近距離。

恒也の腕は、見事に美愛の首に回っとる。

…心臓の音が、聞こえないかと。

そう心配するくらい近かった。

「おはよ、美愛」

「おはよぅ。てかさぁ、この体制はなんなん?」

傍から見れば、後ろから抱き着かれてるようなもんでしょ?

恥ずい恥ずい恥ずい〜!!

けど。

恒也に抱き着かれるのは嫌じゃない。むしろ心地好い。

「ぶー。」

そう言いながら恒也は美愛から離れた。

さっきまで抱き着かれていたところが。

恒也がいたところが。

急に冷たく、淋しくなった。


「恒也くん、おはよ。」

ひょこっと隣から、そう癒那が挨拶した。

「おぉ、中村。はよ。」

中村っていうのは、癒那の名字。

「ねぇ、恒也。今日数学って宿題あったっけ?」

「あるよ。」

うっそ〜ん!

「見してね」

いつもの事になった。意外と恒也は真面目に宿題をしてくる。

「しゃーねぇな!次はないと思いなさい。」

「小林の真似!?ウケるんですけど!!」

なにげ似とるし!



ねぇ恒也。

美愛と恒也はすぐ仲良くなった。

とっても仲良くなった。

これは。

運命って、思ってもいいのかな…?

少しくらい、自惚れてもいいのかな…?


大好きだよ、恒也―…。

例え君が、あと少しでいなくなるとしても。

例え君が、絶滅の淵に立たされても。

見捨てないから
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