ボクらのツバサ
彼女に視線を向ければ、ボーッとしていた俺に“大丈夫?"と声をかけてくれた
「ああ…陵が欲しがりそうな物だよな…。んじゃ、陵にさりげなく聞いとくよ」
なんて“いい人"を装いながら自分の気持ちを閉じ込める……
俺の気持ちなんて知らない彼女は、俺の言葉に笑顔になる。
「ほんとに!? ありがと〜拓真!助かるー」
(……何で……?)
「やっぱり拓真に話しして良かったぁー」
(…何で陵なんだ……)
「それじゃあ悪いけど、よろしくお願いします!」
笑顔で俺に頭を下げる彼女
それからしばらく他愛もない話をして、日が沈みかけた頃、浅月は「また明日ね」と言って公園を後にした…
そして、遠ざかっていく彼女の後ろ姿を眺めていると、ふと気付けば、俺の頬に涙が伝っていった…