ボクらのツバサ
それを見逃さなかったかのように、陵は黒い笑みを浮かべて俺を見る。
「別に構わないよなー?拓真?」
「えっ?あ、まぁー」
話を急に振られて曖昧な返事をしたら「じゃあ、決まりだな!」と陵が話を進めた。
そんなやり取りをしていたら、さっきまで客の接客をしていた西崎が「俺も俺もー」と手を挙げながらこっちに向かってきた。
「何だよー、仲間はずれは許さないからなぁー」
と、ガキみたいに拗ねた口調で話しかけてくる西崎。
「俺も一緒に行くか…」
言いかけた瞬間―
飲み物を作っている女子達に「西崎はまだあと1時間、仕事でしょ!」と怒られていた。
結局、西崎のヤツは、泣く泣く俺達と一緒に回る事を断念したのだった。