ボクらのツバサ


「……拓…真?」


俺に腕を掴まれ、驚いた表情をしながらこっちを振り向く浅月。



2人の間にしばし沈黙が続く……



無意識に掴んだ腕に力が入る。


「……痛、いよ…拓、真…」


第一声に口を開いたのは浅月だった。


彼女の言葉にハッと我に返った俺は、自分のとった行動を思い出し「ごめん…」と言って手を離した。



「…ううん、いいの平気」




「…………」



「…………」



また沈黙が続く…



(…浅月に昼間の事、謝らなきゃ……)



震える手を握りしめて、うつ向いていた顔を上げ彼女に視線を向ける。



< 178 / 200 >

この作品をシェア

pagetop