ボクらのツバサ
「……拓…真?」
俺に腕を掴まれ、驚いた表情をしながらこっちを振り向く浅月。
2人の間にしばし沈黙が続く……
無意識に掴んだ腕に力が入る。
「……痛、いよ…拓、真…」
第一声に口を開いたのは浅月だった。
彼女の言葉にハッと我に返った俺は、自分のとった行動を思い出し「ごめん…」と言って手を離した。
「…ううん、いいの平気」
「…………」
「…………」
また沈黙が続く…
(…浅月に昼間の事、謝らなきゃ……)
震える手を握りしめて、うつ向いていた顔を上げ彼女に視線を向ける。