ボクらのツバサ
1話
1学期 ―転校生―
「なぁ〜。笹野〜、久瀬! 俺のクラスに転校生が来たんだぜ!」
「…はぁ?」
ザワついてる教室。
只今、昼休みの真っ最中…
さっき、購買で買ったばかりのパンを食べていた俺…
(転校生〜??)
なんて考えてたら、隣でジュースを飲んでいた陵が不思議そうな顔をする。
「…転校生? もうすぐ夏休みだって言うのに…?」
「そーなんだよなぁ〜。なんか、大人しい女子でさ、前の学校の話しとか聞こうとしても、だんまりなんだよなぁー」
「ふ〜ん」
俺が軽く西崎の話しに相づちを打つと、弁当を食べ終わった陵が、弁当箱を片付け始めた。
「前の学校でなんかあったのとか…?」
「久瀬もやっぱ、そ〜思うか?」
目を輝かせながら陵の言葉に食いつく西崎。
そんな西崎を他所に俺は、食い終わったパンの袋をゴミ箱めがけて投げた。
「…俺、別に興味ねぇーや」
「なんだよ笹野!食いつきわりぃーな」
なんて、西崎のヤツが文句言ってたけど、そんなことお構いなしに、俺は席を立って教室を後にした。
…この時の俺は、自分には関係ない事だって、気にも止めていなかった………