泣かないで
「何って、別に…
繭がいきなり来るからビックリしただけだよ」
「ふーん」
繭はそういうと、
さりげなく僕に手を差し出した。
僕が立つのを
手伝おうとしてくれてる…
繭ってやっぱり優しい…
いやいや、僕は男だ。
女の子に助けてもらうなんて…
僕は繭の手に気づかないフリをして
自分で立ち上がった。
「……」
繭は僕と差し出した自分の手を交互に見て
少し切なげな顔をした。
でも、僕はそんな繭に気づかなかった。