泣かないで



繭は残酷だ。

僕の気持ちを知らないから。

簡単に他の男の話ができる。



その度に、

どれだけ僕が傷付いたか。




「星夜」

ふわっ



固まったままの僕の頭に

暖かいものがのった。



知ってるよ、この温もり。

この優しい感じ。

繭の手だ。




「大丈夫?」


「あ、うん。ごめん」


「全然喋らないから、
 どうしたのかと思った。
 私の話、ちゃんと聞いてた?」


「あーー、なんだっけ?」


「もう」
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