涙人


「たっだいまー…」


リビングに向かってそう言うと、あたしは自分の部屋へと続く階段を駆け上った。


パタンとドアを閉じ、ベッドに倒れ込む。


…志帆とは、あれから連絡が取れない。


「…メールも… 返信なし…か…」


待ち受けには、三人で撮ったプリ。


最高の笑顔で写っている自分が、何だか憎くも感じる。


「亜由那に掛けてみるかっ…」


コール音が三回鳴ると、亜由那の声が聞こえた。


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