涙人


「亜由那!! どうしたの!? 亜由那ぁっ!!」

『し…………あ…ま………たす…っ…け……ほ………』


ガチャンという音が聞こえ、電話が切れた。


ケータイが床に落ちたのだろう。


「亜由那………?」


あたしは、何が起きたのかわからなかった。


しばらく呆然としたままだった。


「………行かなきゃ」


あたしは上着とケータイを握って、家を飛び出した。


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