涙人


だけど、二年前にお兄ちゃんは結婚してアメリカに行ってしまった。


今まで頼りすぎてた分、いい加減自立しなきゃ…と、ケータイの電源を切ったのはいつの事だろう?


「…孤独…」


もう一度、ゆっくり声に出して言ってみる。


頼れる人もいない。友達すらいない。
でも、群れるのは嫌い。


孤独でいい。


…一人がいい。


あたしが誰かの人生を狂わせないうちに、人とかかわるのを止めよう。


そう、固く誓ったその時―…


「…は?」


奇跡が起きたんだ。


< 5 / 88 >

この作品をシェア

pagetop