秘密の放課後。

始まり

「ねえ、拓巳。恋ってどんな感じなんだろうね」

私達は恋を経験したことが無い。

ねえ、拓巳。
恋ってどんな感じなんだろうね。

真っ赤に頬を染めている拓巳を見つめる。

拓巳は私から目を逸らし少し間をあけて、
「…分かんねえ」
と呟いた。

…私も分かんないや。

じゃあ、この私のドキドキは何だろうね。

目を逸らしたまま拓巳は更に顔を赤らめ、
「…紗依、離して」と小さく呟いた。

拓巳の声に我に帰った私は今、私が拓巳に跨がっている事に改めて気がついた。
慌てて立ち上がろうとしたが力が入らず倒れこんでしまった。

「ちょ、紗依!?」

まさかの展開に慌てる拓巳。

離れるどころか今度は抱き着く形になってしまった。