結婚式
会場内が、どよめいた。
両方の親族が騒ぎたつ。当たり前だ。
せっかくの平和のための結婚式を今更、すべてをぶち壊しにするその言葉。
『永遠の愛を誓わない』
それは、結婚に対する拒否。
呆然としたまま、ジュリアは座り込んでしまう。
「アスランッ! 何を考えているんだ!」
「レイナード伯爵! 一体どういうつもりなんだ!」
両方の父親や母親からの非難。アスランは何も言わない。
隣に立っていたアンジェラは、目を見開いて隣のアスランを見つめていた。
「この結婚、やはり……俺には荷が重すぎます。できません」
「何を……!」
何が起きているのか分からない。
どうしてこんなことになったのか分からないのだ。
ふと、ジュリアの脳裏に昨晩の言葉が蘇る。
『結婚しないで』
まさか、彼がこんな幼稚な馬鹿な戯言を本気にするはずがない。
両国の平和と、レイナード伯爵家のことを考えれば、おとなしく結婚するのがいいはず。
なのに、どうして……。
こんな愚かなことをしたんだ。