結婚式
「結婚……」
唇が渇く。
言わなくてはならない。
『結婚すべきだ』と。
言わなくてはならない。
ジュリアは、大きく息を吸い込んだ。
「結婚しないでッ!」
「よく言ったっ!」
にっこりと、アスランは笑った。
そして駆け出し、ジュリアの手を引いて教会を逃げ出した。
警備の者を薙ぎ払い、二人は逃げ出した。
どこへかは分からない。
遠く遠くへ逃げ出した。
町を走り、追われながら逃げて行く。
ただ逃げて行く。
二人で逃げていく。二人で走っている。
この時間に、二人は胸を躍らせていた。
小説の中の登場人物の様なこの状況。今二人でいるこの時間。
すべてが愛おしく感じる。