結婚式
結婚式
結婚式当日。
花婿、花嫁は結婚の衣装に身を包む。
ジュリアは花嫁の控室にいた。
「とっても綺麗ですわ……」
花嫁のアンジェラ姫、彼女が纏うドレスはアスランの母の形見。
ジュリアが仕立て直した物。
「ありがとう……」
姫はにこやかにほほ笑む。
長いまつげ。夜の様な黒髪は艶やかで、肌はきめ細かく、指一つ動かすだけで気品を感じる。美しい姫だった。
「アンジェラ姫、とてもお似合いです」
ジュリアもまたほほ笑む。
本当に美しい姫だった。
自国の貴族令嬢たちに人気だったアスランと絶世の美女だと言われるアンジェラ姫。
反対する者なんていない。誰もが祝福するほどにお似合いの二人。
「…………」
昨晩はなんてバカなことを言ったのだろう。
彼女はアスランと結婚すべきなのだ。
それを反対すべきではない。
むしろ祝福しなくては。
長年仕えてきた主人が、両国の為に美しい姫と結婚する。
それは素晴らしい事だから。
でも、それでも……
「アスラン……」
受け入れたくなかった。