結婚式

目の前の美しい姫と、彼は結婚する。
姫は自分の作った花嫁衣装に身を包み、自分はただのドレス。

みじめだった。


『お前は俺の妻になれ。一生、ついてこい』

若い青臭いプロポーズが脳裏によみがえる。
あの日のプロポーズ。皮肉にもその翌日にこの婚約は決まった。

反対は、できない。
それが国の為だから。国の為に、結婚しなくてはならないのだ。


「ジュリアさん」

「あ、はい」


後悔と、悲しみと、悔しさ。様々な感情におぼれていたが、姫の言葉で引き戻される。
姫はにこりとほほ笑んでいた。


「貴方は、アスラン様の幼なじみだと存じてますわ」

「はい。幼いころより、ずっとお仕えしてまいりました」

ずっと、ずっと前から。
何年も前からひそかに思いを通わせていた。
ただでさえ身分違いの恋。誰にも知られてはならない恋だった。

なのに、突然現れたこの姫に、
突然決められた婚約に、国に、
二人の仲は引き裂かれた。


「アスラン様は、どのようなお方ですの?」

何も知らない姫が彼女に質問してきた。

残酷すぎる質問。ジュリアは、なかなか口を開けずにいた。


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