ペテン師の恋
朱一は、私が憎くて近づいた。






それが真実でも、私の気持ちは揺らがない。






朱一が好きだという、ちゃんと自分から好きになれるひとができた。






それが、何より嬉しくて、初めて心が解放された気分になった。






自分の気持ちを認めたら、前よりちゃんと、自分のことも好きになれた。






「貴方は、私が憎いかもしれない。だから、見返りは求めない。ただ、好きだと言うことを伝えたかっただけ」






朱一の車は、いつのまにか私のマンションの前に着いていた。






「不思議な女だな。僕みたいな男に騙されるなんて…。君の気持ちを利用して、不幸にしてしまうかもよ?それでも、好きだといえる?」






朱一は、嘲笑った言い方で言った。





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