ペテン師の恋
感情を知って欲しかった…






その言葉の意味は、なんとなく理解できる。






人から良く見られることは独学で学んだ。心にない言葉も、考えなくても、勝手にでるようになった。






本当の私は、昔から自分の中に閉じ込め、偽りの自分を作り出していた。






だから、人から何を言われようが傷つかないし、人から愛されても、何も感じなかった。






愛の意味も知らない





恋するのは、疑似恋愛で充分だと思っていた。






「私もさ、若い頃は恋をして、いっぱい傷ついて、泣いたり、喜んだり、いろいろあったのよ。だけどね、誰かを自分から愛さなきゃ、知らなかった感情の存在も知った。学ぶこともたくさんあった」







恋愛で初めて知る感情…






それは、朱一との出逢いで初めて知った…








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