ペテン師の恋
「外、でてくれたんですか?俺も、今自分の家のベランダでみてるんですよ」






聖は嬉しそうに言った。







「じゃあ、俺たち、同じ星空一緒にみれてますよね」







何気なく言った聖の言葉が、心に沁みた。







会いたい…






本当に一緒に彼と星空を見たい。







だけど、同じ空を見ているだけで、彼は満足してくれる。






嬉しいけど、もっと、求められたかった。







「聖って、やっぱり不思議…。でも、そういう考え方、好きよ」






美里が、初めて素直になれた瞬間だった。






「えっ!?なんか変っすか!?俺、何もまだよくわかってなくて…」






美里の言葉にいちいち苦悩する反応、自分を飾らない人。






「可愛いね、何も変じゃないよ。でも、興味あるわ」






「興味?よくわからないけど、なんか嬉しいっす。美里にそんなこと思われて」





聖の照れながら話す雰囲気は、電話越しでも伝わった。





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