ペテン師の恋
二人はずっと、手を繋いで水族館を歩いた。






緊張していた二人も、いつしか慣れ、恋人のように過ごしていた。






「この魚おっきいね」






美里の足が止まったのはジュゴンの前だった。もちろん、美里は魚の名前なんて知らない。






見たことない魚ばかりで、感動していたが、ジュゴンは格別だった。






「ジュゴンだよ。見たことないっすか?海外ではジュゴンを人魚だと見間違えたっていう説があるんです」






意外にも詳しい聖に、美里は感心した。






「あなた凄いじゃない。詳しいのね」






「何度か小さい頃、水族館きてたし。でも、ジュゴンは格別に好きなんっすよ」






そういって、懐かしそうにジュゴンを見つめる聖を美里は見つめていた。






< 174 / 278 >

この作品をシェア

pagetop