ペテン師の恋
「あ〜、緊張した。大人ぶったことするとダメだね」






美里が聖の顔を覗くと、聖の顔は真っ赤だった。






聖の言動行動に、美里も緊張させられていたのに、それ以上に聖が緊張しているのをみて、可笑しくなり、美里は笑った。






「変な人ね」






誰かと過ごしていることが、こんなに楽しいなんて感じるのは初めてだった。






好きな人に好きと言われる。






誰もが体験したことあることを、美里は初めて体感した。






これまでの、好かれるだけの人生と、一変した。





「変な人とか酷いっすよ〜、俺、誰かに告白とか初めてなんですから」






「ありがとう、聖」








この日から、二人は恋人となった。






幸な二人の関係は、ずっと続くものだと信じていた。






しかし、運命の残酷さをこの先、二人は受け入れなくなる。







初めての幸な日々のおわりはあっけなく、訪れてしまうのだ。







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