ペテン師の恋
ある日、美里のマンションに母親が現れた。







「なにしにきたのよ」







美里は冷たく、玄関以上は部屋へ上がらせたくなかった。






「母親にむかって、本当失礼な子ね」






母親は美里を押しのけて部屋へ入った。






「なにするのよ!?今さらなに？」






美里と母親は二年以上顔をあわせていなかった。







母親の名義を借りてマンションに一人暮らしするようになってから、一切連絡は取り合わなかった。







「私ね、結婚するのよ。だから、一応、あんたも私の子だから挨拶しにいくわよ」






「何勝手なこといってるの?!結婚するなら好きにしたらいい。元々父親なんていなかったんだから、私なんて居ないことにしたらいいじゃない」







美里は母親に怒鳴るように言った。







「ギャンギャンうるさいわね。あんたは私のお腹から産まれたこと忘れてない？あんたに私に逆らう権利はないの」






冷たく言う母親に、何も言い返せない自分が虚しかった。







この母親から生まれてしまった事実は変わらない。







美里はずっと、血の繋がりを恨んでいた。






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