ペテン師の恋
「私だって、別にあんたを紹介したかないわよ。相手がどうしても、娘になるあんたと会いたいって言ってたから」







母親は嬉しそうに、左の薬指にはめたダイヤモンドの指輪を見つめた。






いつまで、自分はこの親にかかわらなくてはいけないのだろう。






自分のことしか考えない母親に対し、諦めを感じた。






「じゃあ、せめて、昼間にして。でなきゃ挨拶なんかできない」






「何それ、普通夜でしょ?バイトなんか休みなさいよ」






母親はまた不機嫌そうに言った。






「私はプライド持って仕事してるわ。お客様がいるのにそんなこと出来ない」






美里の言葉に、母親は言い返せなかった。






渋々、了解すると、母親は去っていった。






「なんなのよ、あの女は」






美里はモヤモヤした気持ちのまま、ソファーに横になった。






すると、突然ケータイがなった。相手は聖からだった。






美里は少し、安堵して、電話に出た。






「はい…」






それでも、なかなか元気はでず、沈んだトーンで電話を出た。






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